実務

放デイ・児発の運営指導で確認される書類と記録|事前準備のチェックリスト

2026年10月18日 株式会社KOTOHA

「運営指導が決まったが、何を用意すればいいのか」「記録は、どこまで残っていれば説明できるのか」。管理者の方から、よく聞く声です。

自治体が公表している運営指導の指摘事例には、「記録が無い」「計画との対応が見えない」という形のものが並んでいます。この記事では、公表されている書類の一覧と、告示・留意事項通知で確認できた範囲から、何が見られるのかを整理し、その日のうちに具体を残すための記録例を、架空の例で示します。

この記事で確認した原典

運営指導は、どう進むのか

国の指針は、児童発達支援・放課後等デイサービスの運営指導を3年に1回以上の頻度で実施するとしています。そのうえで、運営指導を次のように定めています。原則として実施の1か月前までに文書で通知する。確認は「標準確認項目」と「標準確認文書」で行い、文書は前年度から直近の実績に係るものを見る。利用者の記録の確認は、特に必要とする場合を除き原則3名以内。関係者から書類をもとに説明を求める、面談方式で行う。

つまり、書類があるだけでなく、その書類で説明できることが問われます。事前提出と当日提示の別は、自治体ごとに異なります。

確認される書類の一覧|点検用チェックリスト

京都市・札幌市が公表している一覧と、国の指針の確認文書の例から、共通して出てくるものを当社で区分した表です(各自治体の一覧そのものではありません)。実際の一覧は、お住まいの自治体の掲載ページで確認してください。

区分☐ 書類・記録の例見られる点(公表資料から読み取れるもの)
契約・説明☐ 契約書、重要事項説明書、個人情報の同意書、受給者証の写し運営規程と重要事項説明書の内容が合っているか(大分市)
個別支援計画☐ アセスメント・面接記録、原案、担当者会議録、同意済みの計画、別表、交付の記録、モニタリング記録5領域とのつながり、6か月ごとの見直し、同意の日付、交付日と方法(千葉市)
提供の記録☐ 日々の提供記録、実績記録票、送迎の記録提供日と具体的な内容、送迎時間と職員(千葉市)
人員・研修☐ 勤務表(実績)、出勤簿、資格証、年間研修計画、研修記録基準人員や加配の要件を満たしていたか(千葉市・大分市)
虐待防止・身体拘束☐ 委員会の記録、指針、研修記録、担当者、身体拘束の記録措置が揃っているか(後述)
BCP・安全・衛生☐ 業務継続計画、安全計画、感染症の指針、委員会・研修・訓練の記録策定と、計画に従った措置(千葉市・山梨県)
苦情・事故・災害☐ 苦情の記録、事故・ヒヤリハットの記録、避難訓練の記録、消防計画京都市・札幌市の一覧に記載
請求・公表☐ 請求書・明細書、法定代理受領通知、加算の根拠資料、自己評価・支援プログラムの公表内容加算を請求している場合は根拠の資料も(大阪市・札幌市の一覧)。支援プログラムの公表は通知の減算の項目

京都市(自主点検表)と札幌市(自己点検表)は、市が公開している点検表の用意も求めています。同様の書式があれば、事前の点検に使えます。

個別支援計画は、一連の手続き全体が見られる

千葉市の結果では、指摘が最も多かったのが個別支援計画でした。通知は、計画の作成に係る一連の業務が適切に行われていない場合も、計画未作成減算の対象としています。減算は、未作成の期間が3月未満なら100分の70、3月以上なら100分の50です(告示)。

国の指針(児童発達支援)が挙げる手続きは、アセスメント、保護者・本人への面接、原案、担当者会議、同意、交付、そして少なくとも6か月に1回の見直しです。どの段階も、日付と内容を示せる記録が必要になります。

基本報酬の時間区分は「現に要した時間」ではなく、計画に位置付けられた標準的な時間で決まります(告示。放課後等デイサービスも同じ)。大分市の資料にも、標準的な時間を計画に定めていない、実際の時間で算定している、という指摘があります。

加算・体制の記録|通知が求める最低ライン

加算ごとの要件の詳細は、別の記事で扱います(家族支援加算は専用の記事があります)。ここでは、通知が「記録」を求めている箇所だけを並べます。放課後等デイサービスは児童発達支援の取扱いを準用します。

加算通知が求める記録
家族支援・子育てサポート日時と、相談内容(支援内容)の要点。計画への位置付けと保護者の同意が前提
欠席時対応相談援助の内容の記録(告示は、状況、相談援助の内容等を記録した場合に算定と定める)
専門的支援実施対象児ごとの、支援を行った日時と内容の要点。実施計画の作成と、説明・同意
延長支援延長の理由と時間を計画に位置付ける。提供した延長時間を記録。急な延長は理由と時間を記録
関係機関連携出席者、開催日時、内容の要旨(Ⅰは計画に反映させる内容も)

同意・計画・記録が揃って初めて、請求を説明できます。支援をしていても、記録が無ければ示せません。

体制の書類も減算に結びつきます。次の3つは、いずれも所定単位数の100分の1の減算です。

自己評価の結果や支援プログラムの公表について、方法と内容を都道府県に届け出ていない場合は、所定単位数の100分の85です(通知)。

公表されている運営指導の指摘

件数は各資料のとおりです。自治体どうしの数字は比べられません。

記録の整え方|架空の例11組

例はすべて架空です。「弱い」は後から説明しにくい書き方、「読み取れる」は要件を満たしていたことが読み取れる書き方の一例です。算定できるかどうかは、記録の書き方ではなく、実際に要件を満たしていたかで決まります。

例1|面接の記録(アセスメント・モニタリング)

例2|担当者会議の記録

例3|同意と交付の日付

例4|6か月の見直し

例5|日々の提供記録

例6|家族支援加算の記録

例7|欠席時対応加算の記録

例8|専門的支援実施の記録

例9|虐待防止・身体拘束適正化の委員会と研修

例10|苦情・事故の記録

例11|業務継続計画と訓練

これらの例に共通するのは、次の4点です。

  1. 日時と、誰が行ったかを残す。 基準や加算の要件と、日付で照らせる。
  2. 具体的な内容を、その日のうちに残す。 「公園に行きました」では不十分と、千葉市の資料にある。
  3. 計画との対応を示す。 計画の欄、目標、同意の日付とつなげて読める。
  4. 意見・回答・今後の方針を分ける。 面接や会議の記録は、やり取りの結果まで残す。

通知が求める最低ラインは、加算ごとの日時や要点の記録などです。例のうち、通知が直接求めていない書き方(例10・11の項目、版や改訂日、記載者の欄など)は、法令上の要件ではなく、当社の考えです。通知が求めていない項目ですが、当社は残しておくことをおすすめします。

よくある質問

Q. 事前に何を提出するのか。 A. 自治体によります。京都市は運営規程や勤務表など11種、札幌市は運営規程、勤務表、契約書の様式などを事前提出としています。通知に従ってください。

Q. 書類は紙でないといけないのか。 A. 通知は、書面の作成や保存を電磁的記録で行えるとしています。国の指針は、ICTで書類を管理している事業者には、パソコンの画面で書類を確認するなどの配慮を求めており、札幌市の一覧にも、データで管理している場合はPC画面等で確認するとあります。一方で、大阪市の一覧には、電子データで作成・保管している資料は当日印刷をお願いすることがある、との注記があります。扱いは自治体の運営指導の通知でご確認ください。

Q. 記録は何人分見られるのか。 A. 国の指針は、特に必要とする場合を除き原則3名以内です。自治体の運用は通知で確認してください。

Q. 指摘を受けると、どうなるのか。 A. 国の指針では、改善が必要な事項は後日文書で通知され、改善報告書の提出が求められます。会計検査院の件では、過大に算定された給付費について、適正な額の算定と返還の手続きを行わせるよう求めています。個別の扱いは自治体へ。

Q. 放デイと児発で、書類は違うのか。 A. 京都市の一覧は、児童発達支援と放課後等デイサービスを1枚で扱っています(札幌市の一覧は、障害福祉サービスも含めた共通の一覧です)。加算の記録は、放課後等デイサービスが児童発達支援の取扱いを準用します。

まとめ

運営指導で見られるのは、書類の有無ではなく、計画・同意・実施・記録がつながって説明できるかです。公表されている指摘も、記録が無い、日付の前後が合わない、計画との対応が見えない、という形で出ています。

記録は、後からまとめて書くほど具体が抜けます。その日のうちに、日時、内容、計画との対応を残しておくと、運営指導で説明するときにも、日々の支援を振り返るときにも、手がかりになります。

記録を、日々の支援の中で残すために

そだちノートは、支援員が話すと、AIが短い問いかけで場面を聞き返し、施設の中で共有する記録文に整えるアプリです。そこから、先生が確認して送る保護者向けのおたよりと、明日以降に試すこと(観察する点・関わり方の案)ができます。こどもごとの記録は、施設の管理画面からPDFで書き出せます。来所・退所、送迎、欠席の連絡、家族との相談(相談援助)を残す記録画面や、加算の点検は、いまは準備中です。国保連への請求ファイルの出力には対応していません。記録の判断と、加算を算定してよいかどうかの判断は、いつも事業所が行います。

※この記事は、2026年10月18日時点の告示・留意事項通知と、自治体が公表している資料にもとづく一般的な情報です。自治体によって運用が異なる場合があります。個別の算定の判断や、運営指導の準備は、お住まいの自治体や、所管の窓口にご確認ください。

株式会社KOTOHA
放課後等デイ・児童発達支援むけ観察記録アプリ「そだちノート」の運営元です。

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